「SISTERS」

「SISTERS」
平成20年7月5日
会場:PARCO劇場
作・演出:長塚圭史 
出演:松たか子 鈴木 杏 田中哲司 
   中村まこと 梅沢昌代 吉田鋼太郎


優しい気持ちになった。


話は優しい話じゃないし、むしろ現実的で痛いくらい。
なのに、終わった瞬間にとても優しい気持ちになった。
生きようとする想いのためかな。子供のころの傷あとは
代替になるものはなくて、たとえ今、過去を責めたと
しても埋まるはずのない傷跡なのであって。
それでも言わずにはおれない、この後を生きるために。
あるいは大切だと思う人のために。
そしてそれから、愛する人、愛してくれる人がいること
を思ったからかも。

部屋の中にたまっていく水が涙のように見えた。
涙の海に浮かぶ親子。浮かぶ曼珠沙華。怖いくらいキレイ。

ただ、なんだろう。違和感があった、このシーン。
映画みたいだなーと思ったの。
演劇的じゃないなーと。
演劇は空想の賜物というか、思い描く自由を手にする場所
と思っているのだけれど、こう圧倒的なキレイさを見せら
れると、どうも空想する割合が小さくなってしまって、
楽しくないなあとか。いや、こういうのもありですけど。

それでも重なり合う空間、時間の感じが素敵なお芝居だった。


毎朝、その時その時、選び取っているの・・・