「東大寺奉納大歌舞伎」
東大寺の昭和の大修理の際に、瓦を奉納したので親近感の
あるお寺。あの大仏殿のどこかに私の署名入りの瓦が、と
思えばなおさらかな。
名月の当日は前日の雨が嘘のように。時間が経つにつれ月も
さえざえとして、いつも盧舎那仏はこの深々とした静けさの
中にじっとおられるのかと思えば今日この日がどんな奇跡か
とも思える。
会場は大仏殿前の回廊の中。
お囃子や歌が響いて、やはり歌舞伎座で聞くのとは違うよう。
地に響け、天にも届けという弁慶の気迫は、勧進帳千回の
賜物だったでしょう。
そして、染ちゃん!
あんなに熱く激しい富樫になったとは。そして弁慶の覚悟を
見たときの涙ながら?のほとばしるような台詞。
また新しいところに至ったのだなあと感動すらした。
こうして新しいものを見せられ、新しい感動を貰い、幸せな
一期一会に酔いしれました。