世田谷パブリックシアター+コンプリシテ共同制作「春琴」
「春琴」 谷崎潤一郎「春琴抄」「陰翳礼讃」より
平成20年2月29日
会場:世田谷パブリックシアター
演出:サイモン・マクバーニー
出演:深津絵里 チョウソンハ ヨシ笈田 立石凉子 宮本裕子 麻生花帆
望月康代 瑞木健太郎 高田惠篤 本條秀太郎(三味線)
闇、音。物語の中に引きずり込まれる。
以前に「ウ-マン・イン・ブラック」を見ようと思ったきっかけが、
映像化不可能な舞台(暗すぎて)っていうのだったんだけど、
今回の舞台とある意味そんな感じ。
たぶん日常の中に普通にあった暗闇とかろうそくの灯りとか。
そして人の息遣いまで響くほどの静寂とか。
驚いたのはスタッフが海外の人たちだったこと。
いや日本だけではなく、均一になってるのは世界中なだけか。
かつてあった暗闇や繰り返される日常。
そして純愛。
そういう生き方以外に生きられない春琴の哀しさとか、彼女をまるごと
受け入れる佐助の心とか。ああ、どうだろう。理解できてるか・・・?
朗読が終わり、明かりの消えた暗闇のスタジオの中で立ち尽くす物語の
登場人物たち。そのまま今という時間に飲み込まれていく。私の中で。
物語や芝居の存在する意味を時々考えるんだけど、その話を生きることで、
今の自分の在り様を計るというか、人として在るべき姿か、この先
目指す方向に間違いはないか、考えるためではと思う。
朗読していた彼女のように。
今回印象的だったのは、文楽みたいな人形。
フィリップ・ジャンティ・カンパニーのときにも出て来たが、ここまで海外で
評価?されてるか、いかにこの操り方が繊細な動きを与えるかなのかな。
しかし人形て怖い。生身の人間より生きているような、感情あふれて見える。